ろがあり、傍で見てさえ、知らず知らず信頼を覚える特殊な雰囲気が醸されているのだ。
スーラーブは自身も、まるで蘇えった心の拠りどころと、前途の希望とを感じた。心を引緊め智を働かせて仕遂ぐべき大事があると、却って心が落付き、静かな勇気が内に満ちる。
彼は、昨日までの苛立たしげな様子は忘れ、悠くり手を浄め、軽い食事を摂った。そして、朝の挨拶に来たシャラフシャーに、機嫌よく言葉をかけて、一緒に、望楼にのぼった。そこで、彼は始めて自分の計画を打ちあけた。ルスタムを父と知ったことさえ、その朝初めて、明かしたのであった。
最後まで彼の言葉を黙って聞いていたシャラフシャーは、極要点を捕えた二三の質問を出した。スーラーブは、自信を以てそれに答えた。
半時も沈思した後、シャラフシャーは、徐に賛成の意味を表した。彼は「それはよい。やるべしです」という風にではなくやや沈み年長者らしい情をこめて、「そこ迄御決心なされたのなら、遣らずにはすみますまい。貴方の血が眼を覚ましたのだ。シャラフシャーがこの上希う唯一つのことは、どうぞはやらず、一人の命も無益にはお使いなされぬように、と云うばかりです」と云ったので
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