の守りがなくなったら、自分の命が明日に迫っていても、そのままに済さないのはわかっている。その時自分は、否応なしに、戟《ほこ》をとらせられる――然し、父のない後のイランが自分にとって何だ。アフラシャブの道具になって、命をすて、イランを侵略する位なら今、父上のおられる時、自分から動きかけ、機先を制して、その父に会いたさで燃える心を、戦士として、最もよく役立てるのは、当然すぎるほど当然ではないか」
スーラーブは、解《ほ》ぐれ、展開して来る考えに乗移られたように、我知らず、暗い歩廊を歩き始めた。
「ツランから侵入したといえば、王は、必ずルスタムを出動させるだろう。……よいことがある、自分は、ツランの主将として、イランの主将に一騎打を挑む。父上が出て来られる。この機会を、先人の知らなかった方法で利用しよう。自分は、その人をルスタムと確め、いつかの頸飾りを見せさえすればよい。恐ろしい戦場は、忽ち、歓呼の声に満ちた、親子の対面の場所となるのだ」
スーラーブの目前の薄暗がりの中には、その場の光景が、明るく、活々と一つの小さい絵のように浮み上った。思いがけない頸飾りを手にとり、愕き、歓び、言葉を失っ
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