詳細に申上げます。どうぞ、今は一粒、あの薬をおさき下さい」
ルスタムは王の傍を通って天幕の奥の調度の方に行こうとした。
「こら!」
カーウスは、手を延して遮った。
「卿自身の用なら、儂は袋全体もやる。ここに持っているが」
彼独特の薄い微笑を頬に刻んだ。
「卿の息子という奴にはやれぬ。ツラン人を母に持ったらツラン人だ。また卿の血を受けたのが事実なら、定めし骨節のある頼もしい戦士だろう。――儂は、イランの勇将はいくらでも欲しいが、ツランにそれは望まない。儂は偶然が実に巧妙に退治してくれた猛獣に薬を与えて生きかえらせ、揚句の果に自分が噛殺されるのは望まぬ」
「王!」
哀訴と怒声がルスタムの口を衝いて出そうになった。それを、彼は歯を喰いしばって堪えた。永年のことで、ルスタムはカーウスのひねくれが何処迄根づよいか、考えなおしたのであった。自分が一言喋る間にも、あの血を吸った砂の上でスーラーブの命が失われているという意識が、一方の希望を失うとともに、ルスタムを寸刻もそこにじっとさせて置かなかった。彼は、軽く頭を下げた。天幕を出ると、走って、馬に跨ろうとした。が、彼は悪いものを見た。
スー
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