今夜は誰にも会わぬから人は入れるな」
ルスタムは、酒瓶に手をかけた。小さい燈の下で、酒はごくり、ごくり、豊かな音を立てて、脚高な盃につがれた。芳ばしい、神経を引立てる香が四辺に散った。ルスタムは、右手に盃を持ち、左手で白髪を胸に押しつけながら、盃に唇をつけようとした。が、彼は、何とも知れず喉元にこみあげて来る悲しみを感じ、ごくりと喉をならして、盃をおろした。
人気ない卓の上で、酒はいよいよ愛らしい琥珀色に輝いた。それを看ているうちに、ルスタムの眼では、燈の色も、盃の形も次第にぼやけ歪んで来た。彼は、鼻の奥にむずむず涙腺から流れ下るものを感じた。
ルスタムは自分を叱るように、盃を握ると、一いきに酒を煽った。空の盃を手から離さずにまた注いだ。また煽った。三盃そういう風に飲むと、彼は大きく息をつき、卓に肱をかけ、その手で頭を支えた。ルスタムは、自分の戦士としての最後が、こういう形で示されようとは思っていなかった。イランのルスタムが、あの若者に慈悲をかけられて、命を助かる!
四十五
ルスタムは、敵に組しかれた自分を全軍に見られたということは毫も愧としなかった。
け
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