その制御を受けきれないように、荒く不規則に、夜の地面を踏んで行く。ギーウは、もう少しで天幕に入るというところでルスタムに追いついた。彼は、黙って近よりさま、ルスタムのやや前かがみな、厚い肩に手をかけた。ルスタムは、ぎょっとしたようにふりはらうと肩を捩《ねじ》りながら、顔を向けて後を見た。ギーウと知ると彼は、止り、太い太い吐息をついた。ギーウは、ルスタムに顔を近づけた。「入ってもよいか?」
 ルスタムはギーウを見たが、目を逸し、暫く考え、
「待ってくれ」彼は歩き出して云った。
「後で迎えをやる」ギーウは、ルスタムの肩を一二度軽く叩いたまま引きかえした。
 ルスタムは、のろのろ自分の天幕に入った。そして、殆ど機械的に甲冑をぬぎすてると、どっかり腰架に腰を卸した。侍僕が用意していた祝辞を、ルスタムの顔つきで阻まれ、訝かしげに眼の隅で偸見ながら、跫音も立てず酒盃や瓶や、乾果、その他を卓に並べた。
 燃える炎のような眼でじっとそれを見ていたルスタムは、準備が整うと、
「もうよろしい。用があったら呼ぶから彼方に行っていろ」
 侍僕が胸に手を当て、引きさがりかけると、ルスタムは、更に呼びかけた。

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