た。
「さあ! きのうの勝負の片をつけよう」
 スーラーブは、黙礼した。イランの戦士は、スーラーブの顔を見ながら太刀を抜いた。その眼ざしが、彼には殆ど親みを湛えているほど害心のないものに感じられた。スーラーブは、喉元にせきあげる感情で、思わず訊いた。
「卿は、本当にルスタムではないのか」
 和らいでいた光が、素気なくふっとイラン戦士の眼の中で消えた。彼は俄に焦々し、太刀を構え挑みかけて叫んだ。
「さあ、さあ! 何をぐずぐず!」二人は、後じさった。長い、反の強い太刀が、敵を狙うた獣の牙のように、切先を交えて対峙した。
 スーラーブは、例によって始めのうちどうしても注意が集注されなかった。彼は、全く受け身に働いた。
 けれどもイランの戦士は、長引く一騎打ちを、この一勝負で決めたいと思うらしく、太刀風鋭く切りかけ切りかけ追って来る。およそ、八九十合も打ち合った頃であった。イランの戦士は満身の力を切先に集め、気合い諸共、巖も砕けろとスーラーブの肩先目がけて截り下した。

        四十二

 スーラーブは、はっとする間に身を躱し、相手に広い空を切らせた。イランの戦士は力余って、覚えずよろ
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