めきかかった。スーラーブは、そのすきに素早く手許に切り込み、見事に太刀を対手の手から薙落《なぎおと》した。
怒濤のような両軍のどよめきの間に、イランの戦士は、「おう!」と呻くと、素手で組もうとかかって来た。スーラーブもからりと太刀をすてた。二人は牡牛のように、がっしり四つに引組んだ。彼は、寧ろこの偶然の機会を悦んだ。相手の体に密着したことで、疑問の面覆いを引剥ぐことも出来るかと思ったのであった。
スーラーブは、どうかして片手だけを自由にし、その目的を達しようとするのだが、イランの戦士も豪の者だ。右に左に揉み合ううち、スーラーブは、だんだん自分の疲労を自覚して来た。太陽は直射せず、微かな西風さえ吹き流れているが、平地では、砂がちの地と草のいきれで、むっとする暑さが澱んでいた。対手の息づかいの荒さは引っ組んだスーラーブの肩に感じられた。然し、若年の彼の及びそうもない消極的な持堪えが相手にあった。
喉の渇きが激しくなり、粘りこい膏汗が滲み出すにつれ、スーラーブは、少し焦り始めた。彼は、渾身の力を振搾り、相手を上手投にかけようとした。イランの戦士は、うんと足を踏張って堪え、逆に、スーラー
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