、父とめぐり合うということは、彼が空想で描いたほど真直に工合よくは行かないらしいことが明かになって来た。スーラーブは、肌身はなさず持っている母の記念の頸飾を、片手で触った。不意に、サアンガンの城のことや、シャラフシャーのことや、遠い祖父の臨終のこわかった記憶が、きれぎれに通り過ぎた。彼はそのまま寝入った。

        四十一

 翌朝は、晴てはいたが雲の多い天候であった。薄い雲母でも張ったようにむらのない白雲が、空一面|蔓《はびこ》り、その奥から太陽が、平たく活気なく曠野の乾いた土地や蕁麻、灌木の叢を射た。スーラーブは、早朝、天幕の隙間隙間から白く差こむ光で目を醒した。すぐ、今日の一騎討のことを思い、彼は、平気なような不安なような妙な心持になった。食慾がないのを、殆ど無理に、疲れまいとする要心だけから多くの食物を摂った。そして武具をつけ始めたが、鉄の胸当を執りあげると、スーラーブは、暫らく躊躇した。いっそのこと、頸飾を胸当の外に出して懸て置いたらよくはあるまいかという考えが、頭に閃いたのであった。然し結局もとどおり、それは肌衣の下にしまったまま、胸当をつけた。母にとっても自分にと
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