り多いという噂が伝わった。日没前に、第一日の合戦は罷められた。スーラーブは、疲れきり、甲冑の下で処々皮膚をすりむかれて、天幕に戻った。侍者に、膏でこすらせ、寝台に横わりながら、彼の少し血走った眼は心に休みない或る考えで光り、じっと天幕の天井に止まった。スーラーブには、どうしても、今日の相手が腑に落ちなかった。あれだけ勢い激しく打ち合って、びくともしない、あの年の戦士が、ルスタム以外にイランにはいるのだろうか。始めての挑戦に直応じて来たことや、乗馬、甲冑がまるで華々しくない灰色ずくめであったことなどを考えると、或は全く父ではないのかも知れない。
四十
考えに耽りながら躯をこすらせ、食物を食べ終ると、スーラーブは、侍者にフーマンを呼ばせた。フーマンは、昼間の合戦になかなか油断なく立ち廻った。彼は、寛衣にかえ、酒の色を顔に出して入って来た。卓子についているスーラーブを認めると、彼は、陽気な風で、手を延ばした。
「どうです! 見事な腕を見せて貰えましたな。お疲れでしょう。儂は今、兵卒共の慰労に一廻りして来たところだが――」どっかりとスーラーブの傍に腰を卸した。
「バーマン
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