代の世論調査では、ギャラップ博士の調査所が正確であった。なんと意味ふかいプロセスであろう。ルーズヴェルト当選予測を示して、調査の正確さで進出したギャラップ博士の世論調査所が、つづく大戦中、半官的な米国世論調査所と発展し、この一九四八年の大統領選挙でデューイとともに敗退した。ギャラップの米国世論研究所は、ダイジェストと全く似た理由によって致命的な失敗を示した。小山栄三氏は次のようにかいている。「ギャラップがダイジェストと同様に労働階級の投票率を誤算したのではなかったろうか。即ちAFL、CIOの二大労働組合がタフト・ハートレー法撤廃のため一生懸命になって千五百万の組合員に運動し投票所へのかりだしに努めたことに対し、それに適当するだけの数の見本がくばられていなかったのではないだろうか」と。そして「ギャラップの調査員は大部分が女子で、しかも一定の割当人員のだれを選ぶかは調査員自身の決定にまかしてあるため、労働者や下層階級の人を避ける傾向があり、従って多く民主党支持である下層階級の意見が適当に代表されなかったのは、リテラリ・ダイジェストの場合と同様であろう」と判断されている。
 この事実のなかに
前へ 次へ
全20ページ中10ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング