現代史の蝶つがい
――大統領選挙の感想――
宮本百合子
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)扈従《こしょう》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)だいぶめんくらわせた[#「めんくらわせた」に傍点]らしかった。
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こんどのアメリカ大統領選挙でトルーマンが勝利したことは、デューイをおどろかしたばかりでなく、日本の一部のジャーナリストをだいぶめんくらわせた[#「めんくらわせた」に傍点]らしかった。日本時間で十一月四日の午前、トルーマン当選確定となったあと、東京のあちこちの印刷屋に駈けつけてとりいそぎ目下進行中の新年号の雑誌の特輯の中から大統領ときめこんでとりあつかったデューイの、或はデューイ氏に関する記事のさしかえをしなければならなかった雑誌社がいくつかあったということだった。それがでたらめ[#「でたらめ」に傍点]の噂でなかった証拠には、トルーマンの当選が確認された翌五日、『朝日新聞』には、『主婦之友』が先ばしりの悲喜劇をあらわにして、特派記者による奇蹟的会見記という特報でデューイ夫妻会見記を仰々しく広告している。このでん[#「で
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