で置くのがいいんです。
少女小説の著者の名にあこがれて、未来の文学者と自任してなま半かなものになったりその中に描かれた都会の生活の華やかさをしたって取り返しの出来ない事をする人だって必してないじゃありません。
少女小説に筆を染める人々は丁度大学の教授よりも、小学校の教師の方が責任が重いと同じ様に、大した作をする人々よりも一層の注意と責任と思慮が必要なんです。
そして文筆も必して商売的でなくみっちりと重味のある考え深いしまった調子で書かなければなりません。
健な筆で書かなければいけないんです。
流行的な気分を打ち破って澄んだ心を表わさなければいけないんです。
教科書よりも力のあるものだと云う事は忘れてはいけない事で、その読む人々の箇性を形ち造る一分子になる事を知らなければなりません。
少女小説の価値がもっとあがって一つの尊い作品として批評もされる様にならなければいけないものです。
極く楽観的なものと意志の強い立志伝的なものをまぜてそれ等のものが二十ある中に涙の出るものは六七あればいいんです。
悲しみと云うものは世のすべてのものより勝って微妙なものですけれ共少女小説のいま
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