っては少女小説と云うものが大した魅力を持って居るんです。
どこまでもそれにまきこまれて少しも批評とか反向[#「向」に「ママ」の注記]とか云う気持は起りません。
そうして少女小説によって頭の大部分は育てられた娘達は涙もろいしとやかな内気な人にはなれましょう。
でも世の中の暗い方に目さとい人になります。
私は斯う云う事を断言します。
学校の教育によって頭が育てられるのは部分で云えば極く少しのもので自由に読むもの又は聞いた事などによって人間の力で出来るだけの箇人性の大部分が築かれ□□□□[#「□□□□」に「(四字分空白)」の注記]と
私は必して世の中の暗い事ばっかりに屈たくしない人間なんです。
だから世の中の人間の住んで居る外に尚美くしい世のある事も見ず、変る事のない美くしさのひそんで居る事もしらないで、只、うらみ、そねみ、争い、なんかにあくせくして居る人達をほんとうに不具な可哀そうな心を持った人達だと思って見ます。
そして又出来るだけそう云う人達の少なくなる事を願って居るんです。
心の平らな人、
絶えず希望の輝きをみとめて居る人、
そう云う人達の沢山な様にするのにはそ
前へ
次へ
全8ページ中4ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング