に二つの白いやさしいかおがういたようにならんで見えて居る。紅はこころの中によし光君はなおったあとに忘られることで有っても一寸でもこの時間の永いことがのぞまれた。
「どうぞこっちを向いてね。せめてやさしい声だけでも、オヤ、アラ、笑ってる、忘れてくれる悲しいことを皆んな――世の中、世の中、何故! 妙なものだ」
 紅の手は光君の手の中に小さく、柔らかくふるえて居る。
「若さま、御存じでございますか、私を? 誰だか――」
 小さい女らしい声できいた。
「誰だってきくの、私が知らないと思って居るの? 私は知って居るとも、美くしくて私につらくあたる人、思わせぶりな罪な人って云うことを」
「違います、私は、私は、貴方の御召つかいでございますの」
「ホラきれいじゃあない、この着物は、この模様、何だと思う――アアいやだいやだ、どこに行ったらたのしいところがあるの――美くしいほんとうに私は死ぬほど思って居るのにこの人は」
 片手で人形をゆすりながらいたいほど紅の手を引く、かおがぶつかるほど近よせて、
「オヤ、アラ、お前はお前は目が三つも有って、アアきっと彼の人を呪って居るんじゃないかしら、そうじゃあない?
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