れそれに正しい公平な答をした年若な美くしい女と乳母とであった。物狂わしくなった光君はけっしてらんぼうをするようなことはなかったけれ共あけくれ彼の人の着物を着せた人形を抱いてその人の前に居る時の様に話して笑ったり泣いたりして居られた。女達がどんなに親切にして上げても光君は彼の美くしい年若な女と乳母の云うことほかきかなかった。朝夕の化粧、衣更のことなどは皆二人の手にされて常に物凄い様な美くしさを持って居た。光君は夜昼のけじめなく美くしいことばでかなしいことを口走って居た。
「ア、大変だ誰か早く来てお呉れ、彼の人を誰かがつれて行ってしまう、オヤもう見えなくなった。マア、このしゃれ頭はどうしたのだろう、きっとこの中に彼の人も居るに違いないけれ共、アア私は生きて居られないほど悲しい」
身をもんで人形をしっかり抱いて泣き伏して居られるト急に身をおこして、
「マア何と云ううれしいことだろう、あんなにつれなかった人がまアどうしてこんなにおとなしくやさしくして下さるの。私の生が新らしく又吹き込まれたほど嬉しい、オヤいなくなった、どこへ? 早くさがしておくれ、あああのおおきな川に身を投げようとして居る、
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