して居りました。けれ共、私は、その事を表にあらわしてよい事かわるい事かと申すことは、幸父からうけついだ理性ではんだんする事が出来ましてす。それで私達は今まで一寸でもそんな事を気をつけられる事もございませんでしたし又気取られるような事もいたしませんでした。その内光君様が西の対の君さまのところへ御通いあそばす様に御なりになりましてからも、その始っから私は光君の御望の叶わないと申すことは存じて居りましたけれ共、私は自分の心にひきくらべてその御苦しさを御察し申上げて二人の中をどうにでもしてと存じて西の対へもいろいろと云ってやりました。私は気の狂いそうにかなしい中に人よりも一寸でもまさった事をすると申すのがなぐさめで居りました。紫の君さまの御心づよさは光君の御心を狂わせてしまいました、私は自分の貴い玉にきずがついたように感じました。
 毎日、毎日、私は自分の命にかえてもと思って御世話申しました。光君はよく私の云う事を御きき下さいまして何でも私の手でなければ御気にめさないほどでございました。それが又どんなにうれしかったでございましょう、光君様の御体が御なおりあそばしたならこんなに御世話申しあげた事
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