も御忘れあそばすだろうと存じますと……それもかなしみの一つでございました。
 いつまでたっても光君様は御なおりになりませんでした。春がすぎ夏となって又秋をむかえても、……随分長い久しい間でございましたが、その間、私は幾度か正気のなくっていらっしゃる光君に思ってる事をうちあけて申しあげて仕舞おうかと存じましたが、それもわるい事と思う心がおさえつけてしまって居りました。私は只生れながらに一生光君さまの召使として理性の力で悲しいつらい事をたえて暮して行かなければならないものに定まって居たのだと思いきめて居りました。そしたら、今日、この悲しい、はかない事に出来《でく》わしました。私はこれも運命と存じて居ります。私の今まで思って居りました事は光君さまの御かくれと一緒に弔[#「弔」に「(ママ)」の注記]むられてしまった事でございますが、私は思った事がございますので、明らさまに恥かしさをしのんで申しあげます。女としてあまり大胆すぎる事で又あまり露骨すぎて居りましょうけれ共私は今日となって心にわだかまるかくし事のあるのは、と存じましたので……、私は、この愚な女らしくない女を人より以上に御いたわり下さい
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