む、何だと思う?」
少し余裕をおき
「オートミールでしょう?」
「当った。形でわかるね」
「買って来て下さればいいと思って居たのよ。」
以心伝心でうれしいような、不気味なような心持。
その次にも、又次にもそんなことがあり、終に或日、何かでけんかをし、相手を死ぬと云うように思う。考え乍ら、或ことが閃き、フと妻が顔をあげて夫を見る。夫の顔の暗さ。妻、獣のような眼の光で
「同じこと? 考えて居らっしゃるのは。――私の考えて居るのと」
夫、烈しく
「馬鹿!」
静かな夜、戸外を走る自動車の音。
○まつとケットウ
まつ、女中が辛棒しきれず、べっとうと結婚する。すぐいやになったが、ケットウが惜しくてわかれられない、と云う。
ケットで代弁させて居る未練。
×本野子爵夫人のくれた陶器
父、母と本野子爵に呼ばれた。
父、あの調子ではしゃぎ mantelpiece の上のオランダをほめる。(まがいと知っては居たが)
子爵夫人、夫をすすめ、建築の少ない礼の足しにそれをよこし、父、母に叱られる。
常磐木ばかりの庭はつまらない
うちの庭は、殆ど常緑樹
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