ナムナムナムと低誦す。
          ――○――
 ○参って来ますわいの(女が行く)
 ○参りんなさらんけ(誘う女)
 ○おとろしい=恐しい
 ○おおけに=大きに
 ○やあ、困ったもんが出ちもうたやらと思うてようく見ると、……じゃったんだそうだ。
 ○云うことじゃないけどがあ、
 ○なっちもうた
          ――○――
 小作争議で、小作は田をかえす。
 農業は利益のすくない為、皆、金の心配ばかりする。
 維新のとき、禄をあとで払ってくれると云うので、皆、株として士分の名を買う。
 荒木もその一、苦笑すべきだ。
          ――○――
 最も金をかけず、最も早く修業を切りあげて最も早く金をとるようになったを偉いと云う。
          ――○――
 二階には、一対の六枚折屏風があった。わるく赤っぽく、光る金箔で霞を置いた仕切りの中に、近江八景がまるで風情のない田舎くさく稠密な筆で描いてある。おそらく田舎画描きの大作の一であったのだろう。
 力のかぎり画の具のかぎりと云う風に、土佐風、南画的調子こきまぜて書いてある。仮《たと》えば矢走《やば》せの帰帆を意味するの
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