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田舎の寺の和尚・宗匠
何でも云いたいことを十七字につめて云うて見なさい
「サコジ行く ダモンのさきで ホトが鳴く」
「ふつうの言葉で云うて御覧」
「三光寺行く 大門のさきで ほととぎすが鳴く」
愛情の種々
○性的生活に於て 能動的なものの被動的なものに対して感ずる愛情。
○能動的な立場のものは 自分によってあのように燃え 情を発し、夢中になるものが可愛く 何も云えず牽きつけられる。自分に向って来る体のすべてが可愛く、触覚に訴えられたすべてを味い、知って居る。――故に女より女の美しさは男が知って居る 美しい女は男が描く。
○女は、男を愛しつつ、男が女を味うように男を味うことは尠い。圧倒される形だから。例えば顔にしろ、男は観る、女は見ないのが普通。一定の感覚にだけ全心の注意をあつめる。故に美感にとぼし。性慾を芸術にまでたかめ得ず
○女に恋着あって、対手を何も云えずいつくしんで見るようになる男の心持ない わけ。
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〔欄外に〕
翌朝、何か一種揺蕩[#「揺蕩」に「ママ」の注記]たるややエロティックな感じあり。対
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