に懐疑的であるという点に於て、一致して居る。

 ※[#「Y+Y」、500−6]、何かして遊んで居ても時々人生とは何ぞや、又このようにして居るうちに貴重な一生の部分の過ぎゆくことを痛感し黙然とすることあり。
 Y、そのようなことはない、それで※[#「Y+Y」、500−8]、一種の bitterness と孤独感を覚えて
「楽天家!」と呼ぶ。
 Y地道なり。日常生活が幸福に行って居ると、心苦しまず。
 ※[#「Y+Y」、500−11]は、第二次的クサリがなく、自由なればなる程、大きな疑問と面接する自己を感じて苦しむ。

     八月一日

 夜、黄金虫が障子にとまった。
[#図1、絵「黄金虫。頭に「朱と金」の文字、胴に数本の縦縞と「縞」の文字」]
 朱と金の漆塗と、印殿《インデン》草で出来た虫だ。翼の合わせめがかっちりとした根つけ細工のようだ。
 時々三対目の後脚をいかにもかゆ[#「かゆ」に傍点]そうにこすり合わせた、見て居て、自分もくすぐったくなる程
[#ここから1字下げ]
〔欄外に〕
 よく見るとうるしの刷目のようなむらさえ頭や翅にあり、一寸緑色がぼやけて居るあたりの配色の美、

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