一九二七年八月より
宮本百合子

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)印殿《インデン》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「Y+Y」、495−13]
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 一九二七年三月
 下旬の或日。春の始めの憂鬱な日がつづいた。
 A、四十五六。
   独身、一
 Y、三十二歳
 ※[#「Y+Y」、495−13] 二十九歳

     或夜

 A来る。十二月から一人で農園をして居た
 その朝
「友情うすき友達たちよ」
 云々
「女性の声がききたくなった」
 云々
 手紙が来た。その夜来る。三人ともナー※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]ァス 春の潮が神経をかき乱して居るため。
 何かの話から
 A、自分の妻、他の男が出来てその方に去ったこと、など話す
「女ってそうなもんなのかな、両方によくしておきたいんだな、然し僕は、それはその人にわるいからよせ」
と云った由にて交際はせず――そんな話珍しく出る。
 イカモノ
 女の何か書いたりする人っていうの大体イカモ
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