にあるいろいろのものも、あるままに買って貰えぬ不満あり。
 然し、Yの心持の方が自然的[#「自然的」に「人間的」の注記]だ――現実的だという意味に於て――※[#「Y+Y」、498−12]の心持、幾人も持って、やってゆくだけの腕がないので、腕がないくせに心持だけ複雑な結果の虫のよい欲望だ。

     五月

 那須にて。※[#「Y+Y」、498−15]
 何かアンニュイを感ず。内部的に不調和で、生活に対しリボルティングになって居る。
 秀雄居る
 何かの話の間に※[#「Y+Y」、499−2]
「私段々Yが嫌いになって来る」と云う。冗談めかして云って居るが底に一種のビタアネスあり。
 Yそれを感じ、不機嫌。いろいろ云い、※[#「Y+Y」、499−4]、泣く、何だか生活の淋しさを感じてなり、すべて馴れる、フレッシュネスを失う、習慣になる、その淋しさなり。
 Y、※[#「Y+Y」、499−6]を抱き、
「さあ、泣きな、べこや
 長崎を思い出して御覧――お寺のところ――」
 優しく優しく云う。※[#「Y+Y」、499−9]、その優しさに泣き、和らぎ眠る。

 ○Yは刹那的生存だ。
 故に※[#
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