AとYとの感情の故にどうこうと云って、Aが惜しいのではないが……さて、……煙草の煙の最後の渦が消えたような心持とでもいうか。
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〔欄外に〕
 Aの性格に対して、※[#「Y+Y」、497−13]好意は大して持たない ガンコなところ 自分の云いたいことしか云わないようなところ。
 こせつく口やかましいところなど
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     四月

 恋、字の通りこい、あるものを追う、なきものを追うのが恋か という心地
 わがものにならぬものをものとせんとつとめるまでの ひかるる心 恋

     二つの愛

 ※[#「Y+Y」、498−2]
 対手はひとりでよし
 しかしその人が日々に新たな心の弾み、欲情、熱中をもって自分との生活をやってくれないとものたりなくなる心地
 わかれて居て淋しがるのもよいと思うようになる
 一人の対手に多くをのぞむ性質

 Yは、一人からはその人の与えるものしかもとめず、
 つまり、妻君は落付いて、貞潔であることをのぞむ。家庭は家庭、浮気は浮気、それはこれと別という心持。

 ※[#「Y+Y」、498−11]そのために、自分の裡
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