黒蝶のように雛鳥の黒いのがかえって舞いたつ。驚いて見て居るとだれかが 何とか鳥です と云った、その名 一寸美しかったのだが、覚えず。

     Yの同じ夜の夢

 Y、ベコがピアノを弾いて居る、手つきがよい、ピアノを一つ中古で買おうという、オルガンのような見かけの貧弱なの
「アグファ」という名
「へえ、フィルムと同じ名だな、
 然しベビーピアノでは小さくて大きなものひけず、やすくても(五十円)だめだなと思う

     上野から

 ○白河在の爺
 大学生と向い合っていろいろ喋る。
「あなたが行ってなさる学校にもはあ 支那の留学生来てますかい」
「あげえ、支那さわいでるが 金なじょにしてるだべ」
「政党争いみたいなもんだっぺ」
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〔欄外に〕だんだん尻上りな口調
[#ここで字下げ終わり]
「民衆の仕合わせを目標にはしてるらしいない」
「目覚《メザメ》て来たんだない」
 それに対する学生のデスポンデント

     上野――黒磯

 氏家から女学生のった。
  紺サージの制服、緑に白線の入ったバンド
 安積的口調 十二日に旅行アルラシ
 東京日比谷、東京駅、横須賀、
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