江の島などゆくらしい。たのしみにしてその話、
 中に一人赤いリボンの腕時計をし、お下げどめのしかたも東京風 「まあいやだ」などというのも東京風で色も白い、一寸リボンのついた靴をはき目立つ。いつかの旅行のとき
「ジャブーンと波がかかってこんなとこまでぬれちゃったの、一生懸命かわかしてまだ時間があるから、又遊びにいったら、又ジャブーンかかっちゃったの、又乾したけれど間に合わなくてと[#「と」に傍点]うとう買っちゃった。ここっきしないのが五十[#「十」に傍点]銭だって。
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〔欄外に〕ヽの打ってあるところにアクセントあり
[#ここで字下げ終わり]
「じゃすね出ちゃったね」
「え、何とか何とか」
「やんだこと、到頭×ちゃんとうとと叱られてんの」
「何して」
「旅行のこと心配しておっかしなことばっか喋ってんだもの――食べもののことばっか考えて、紙にかいたり何かしてっからよ」
「チョコレートにシュークリームにもってこうて? 持ちものんなるから 私お菓子なんか何にももってがない」
「むこうで買う方が雑作ないね」云々

 べこの前の二人 しきり英語を暗記して居る ディクテーションと
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