或文学青年

 詩の話
 活動 ナナ、ボージェスト これをジェストボー と云った
 いろいろしかつめらしく話しをして居たところへ苅田さん来、何だか調子がちがって来
「苅田さんロシア語おやりになるのよ」
 軽くふざけ
「陰鬱な文学をおやりになるんですね」
 自分
「陰鬱って――この頃のなんか」
「ああ元気な健康な文学です」
「すべて美でも極度にゆけばやや陰鬱ですよ。ナナだって――フランスの情熱だって燃えれば」
「ええモウパッサンだって陰鬱です」
 すっかり軽く、見せびらかしになる。面白し。

 Oka Ra Kyo――とあるのを
 何? 何だって 赤らっきょう?
  大笑い


 いって参ります=いてまいりまち
 枕=おまくわ
 舌を出してジョラン
 ふずめ

     中島貞子

 東京女大
 東北大学ドイツ文科哲学
「文科って――何」
「それが大変なの」
「本当はね、女子大学で英文科をしたから 英文科だといいんだけれどドイツ語なんかやって」
Y「あなた、おうち お父さん何をしておいでです」
「仏様」
「え?」
「――仏さまになっちゃった」

 写真をとる
N「あら 脚おうつしんなるの?」
Y「ええ、谷崎さんに送ってやろうと思って」
 ○賢こいので何か云ってだまったとき 美しさがある
 ○美しきインテレクチュアル婦人という心持
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〔欄外に〕
二十四歳 水色のクレプ・ドシンのショールが似合うたち。桃色ろの半襟 色白、
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     四つの子供 楠生

 ○七つになる姉 やっと覚えた片仮名で クソオ とかく 呼ぶのもクソオさん
 ○頬っぺた高くふくれて居るが手など細く弱々し。
 ○坊や たべるの たべゆの
 ○カキクケコ云えず かあちゃんをターチャん
 ○いもの煮えたの御存じない いものとぐちゃぐちゃいい、ジョジョンジナイ ジョジョンジナイと云う。
 ○おへそを デンデン
 ○ありがとう あなとうとーのみこと(勅語奉答の覚えた)
 ○エプロンに お月と兎ついて居 眼玉が碧い貝ボタン、その眼玉とるぞ とYいう、片手でお月さんをかくし、片手で兎の目玉かくし。あとになってもその手をはなさず
「もうとりません」
と云われてやっと離す。そのように覚えのよい、小心な、根気よいところあって、哀れ。
 ○四つの子供がよく大人の言葉と
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