表情を理解するだけでもおどろくべきものだ。
 ○「ああ 一寸姐さん」と立つ関さんの後を
 「ワアー たあたん」
 と忽ちかけ出す
 「ああ あぶない」
 誰かがかけ出す
 ○風呂=バシャバシャ

   足のかわがすりむけてる

母「ほら御覧なさい、こんなになってるからお靴はけませんよ」
 暫く眺めて居て、
「いたーい」
「チチンぷいぷい」をしてやる
子「いたいとこ、どこいった?」
母「お山、あっちのお山」
子「いたいとこ、お山で何みてゆだろう」
私「谷みてる」

     夢

一、三角の家
 雪がある。船頭のような男と二人歩いて行くと、向うにずらりと並んだ長屋が見える。一間ずつ[#横長の長方形を五つに区切った長屋の絵(fig4206_04.png)入る]一かわ[#縦長の長方形を六つに区切った長屋の絵(fig4206_05.png)入る]こう一側並んで居。
 一間のなかにいろいろな人間がいろいろにして暮して居るのが見える。夫婦さし向いで食事して居るの、年よりと子供が炬燵《こたつ》に当って居るの。真白い布団に真赤なしかけを着た遊女が一人横になって居るのまで。きれいで可笑しい、何だか。すると、その船頭のような男が
「ああして置いてよっぽど人が入るようになりました、こしらえものです」

     夢 二

[#二等辺三角形の家の間取り図(fig4206_06.png)入る]の家、なかに又三角に三方障子でかこみ、なか畳そと板敷。板敷歩くのにいい心持、ひろい端にフロ場、厠、粋なのがついて居る。一寸面白いな、と思う。あの明るい障子のなかに居たら面白いな、と子供のときのままごとのような興味をもった。

     夢 三

 だらだら坂をのぼる 細長い廊下のようなごたごたしたところを抜けて、職工の居るところへゆく、老女、新聞やなにか散って居るのをそのまま、ひどい埃を立てて床をはいて居る。傍に一人男が何かして居るのにかまわず。いやな婆と思う。
[#ここから1字下げ]
〔欄外に〕夜と見え電燈の灯でこれ等が見えるのだ
やがて、私のたずねて来た男でて来る。Yの洋服を見に来た。出して来たの見るとこんな形して居る。海市でこしらえたチェックの布地
[#ワンピースの絵(fig4206_07.png)入る]
[#ここで字下げ終わり]
 この胴のところ、バンドの幅ほどくくれて居たの何ともたまらず
「仕
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