フ中西)
Yのところに居るのに「何も其那とこに居いでもええやろ、若いのに」などそそのかした男。
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〔欄外に〕
○平気で男の悪口を云う 世話になって居る。
○いつも方便の恋
○その癖心のよい人と思ってつかみそこなう。
○岡田、本妻を出す。男の子一人不良 あとにせい[#「せい」に傍点]入る。
[#ここで字下げ終わり]
×生存難
T
母、違う。
やさしくして表に出して叱らず
「本当に困るんですの」
と人に云う。
そういうことによって spoil され、活気のない、目的のない生存
二十三
結婚する適当な相手もなく。
Y、Y
賢い頭、見識
根気なさ ディレッタンティズム
I、A
小さい才能、打算
結婚難
恋愛の経験者
性慾の自覚と、胸《ハート》でつき当らないための結婚難
家庭生活に対する或考
○男は結婚迄自由で種々な生活を経験し、結婚と同時に落付こうとする。女はこれから生活をするという期待をもつ。
○男は外で仕事、うちで休、その波がある。
女にとって、家は、仕事、休みを用意するのだって仕事
○所有[#「所有」に傍点]するものの愛[#「愛」に傍線]が男にある。女には?
ビュビュ・ドゥ・モンパルナッスより
――売笑婦になじみもあったがね、彼女等が愉快そうにして居るのは、それ、子供が怖ろしさをかくすために喚き散らすだろう、あれと同じなのだよ。
男の荒い掌
男の荒い掌が彼女をなでる前、彼女はまだどこか野生で、きめもあらい。生毛もある。一度男の荒い掌が|そこ《彼女》にさわってなでると、彼女は丁度荒い男の掌という適度な紙やすりでこすられた象牙細工のように、濃やかに、滑らかに、デリカになる。野生であった女は、もっと野生な、力ある男の傍で、始めて自分の軟らかさ、軽さ、愛すべきものであることを自覚する。
女にする男
その紙やすりである男の荒い掌になでられすぎた女を御覧、
こすりすぎた象牙の表面同様につやがぬけ、筋立ち、かさかさして居る。
波多野秋をにくむ女の心理
自分も女、あれも女、
あれが男をひきつける
自分、やく。
やいたと云っては口惜しいから、道徳的にどうこういう。
顔で行かず、心で行こうという見
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