ることを見もききもしないで下さいね
彼女は白い股を開いて旺盛に水の迸る音をさせた。音がやむと同時にすっくり白い牝馬のように彼女は立ち上った。――
(日本女子の袂にある Chirigami と称する存在はСССРの白き肉体の末端にとって「知られざる習慣」であるのだろうか)
十六日
今度の共産党事件のリーダーであった三人の若い主義者の一人××さんの親御と私はずっと前から知り合いの間柄であった。
国は九州です。こっちへ立って来る前 国へかえったら××さんのお父さんがわざわざ会いに来られての話に
「○○がもう一年で大学を卒業するというとき、突然もう学校はやめたいと思いますと云い出した時には 実に天地が暗くなる程驚きました。が何ともいたしかたない。彼は学校をやめて鉱山に入ってしまった。そして労働運動の指導者になった。私にはどうしても息子の考えがわからぬ。いろんな噂が聴える。段々私の地位も危くなるようであった。ところがあの事件で牢へまで入ることになったがあれの態度は公判のときもなかなか立派であった。牢へ入ろうが どうしようが、ゆるがぬ決心が見られた。これが私には分らぬ。御承知の通り、あれ
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