子で叫ぶ。
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第二の精霊 来る! 来る! ソラ、あすこに、私達の――
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するどく叫んであとはポーッとした目つきで向うを見る三人の目が皆そこに集った。
白い着衣に銀の沓をはいてまぼしい様なかおをうつむけてシリンクスが向うの木のかげから出て来る。
かすかな風に黄金色の髪が一二本かるそうに散って居る。手には大理石の壺を抱えて居る。
何か考える様な風に見えて居る。
三人の精霊は一っかたまりになって息のつまる様な気持で一足一足と近づいて来る精女を見て居る。精女はうつむいたまんま前に来かかる。
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第一の精霊 もうお忘れかネ、美くしいシリンクスさん。
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少しふるえる様な強いて装うた平気さで云う。
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精女 マア、――何と云う事でございましたろう、とんだ失礼を、――御ゆるし下さいませ。
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しとやかなおちついた様子で云う。そしてそのま
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