んま行きすぎ様とする。
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第二の精霊 マア、一寸まって下され。今もお主の噂をして居ったのじゃそこにソレ、花が咲いてござるワ、そこに一寸足をのして行っても大した時はつぶれませぬじゃ、そうなされ。
第一の精霊 ほんにそうじゃ。お主の細工ものの様な足が一寸も休まずに歩くのを見ると目の廻るほど私は気にかかる――
精女 いつもいつも御親切さまに御気をつけ下さいましてほんとうにマア、厚く御礼は申しあげますが急いで居りますから――この山羊の乳を早くもって参らなくてはなりませんでございますから――
第一の精霊 お急ぎ? それでもマ年寄の云う事は御ききなされ。
精女 お主様がさぞ御まちかねでございましょう。私は早う持って参じなければならないのでございます。
第二の精霊 ここに居る三人は皆お主をいとしいと思って居るものばかりじゃ故お主の御怒にふれたら命にかけてわびを叶えてしんぜようナ。
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この間第三の精霊は木のかげからかおだけを出して絶えず精女を見て居る。
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