葦笛(一幕)
宮本百合子
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)精女《ニムフ》
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人物
精霊 三人
シリンクス ダイアナ神ニ侍リ美くしい又とない様な精女《ニムフ》
ペーン マアキュリの長子林の司
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こんもりしげった森の中遠くに小川がリボンの様に見える所。
春の花は一ぱいに咲き満ちてしずかな日光はこまっかい木々の葉の間から模様の様になって地面をてらして居る。あまったるい香りがただよって居るおだやかな景色。
三人の精霊がねころんだり、木の幹によっかかったりしてのんきらしくしゃべって居る。小蜂が一匹とんで居る。
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第一の精霊 サテサテマア、何と云うあったかな事だ、飛切りにアポロー殿《ドノ》が上機嫌だと見えるワ。日影がホラ、チラチラと笑って御ざる。
第二の精霊 アポロー殿が上機嫌になりゃ私共までいや、世の中のすべてのものが上機嫌じゃがその中にたった一つ嬉し
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