ねて居るのじゃ、幼子の様なお主の瞳にかがやきのそわるのをまちかねて居るのじゃ。
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第三の精霊はかるくふるえながら木のかげから出て来る。精女、二人の精霊は気がつかずに居るといきなり馳って精女の前にひざまずく。
二人の精霊はあとじさりをし精女はおどろいてとび上る。
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精女 アラー? マア――……
第三の精霊 これまでに――お主を……命にかけてとまで思って居るのじゃ。
精女 お立ち下さいませ、泥がつきます。私は貴方さまにそんなにしていただくほど身分の高いものではございませんですから……
第一の精霊 云うでござる、身分の高いものではございませんですから――
良う御ききなされ美くしいシリンクス殿。
年老いた私共は、その若人のするほどにも思われなければ又する勢ももう失せて仕舞うたのじゃ――が年若い血のもえる人達はようする力をもってじゃ。
身分の高い低いを思ってするのではござらぬワ。
体中をもって狂いまわる血の奴《ヤツ》めが思う御人の前にその体をつきたおすのじゃ。
第二の精霊 私共にも、出来る力をもっ
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