ンにしろ、ブロンテ姉妹、ブラウニング夫人、ギャスケル夫人等なかなかしっかりした婦人作家を出した。
 フランスはサロンと芸術の世界に婦人の解放された国として知られている。十八世紀のラファイエット夫人。ドイツのロマンチシズムをフランスに紹介しナポレオンをひどくきらったスタエル夫人。情熱的で作品の上にはっきりと婦人の社会的権利を主張したジョルジュ・サンド。現代でも詩人のノアイユ夫人。小説家のコレット。そのほか活動している婦人文学者は少くない。
 だが、イギリス、フランスでも、数と質において総体的に見れば、婦人作家は男の作家に劣っている。
 日本においては勿論そうだ。
 同じ、ブルジョア文化発達過程の中でも、婦人の文化は一般的にいって男のもつ水準より低かったこと、日常生活の中では封建的な遺物がより多くおっかぶさって解放をおくらしていたことの、これは実に雄弁な証拠だ。
 何故なら、どの国の、どの階級の文学でも、その発展はきっちりその国のその階級の経済的政治的地位、それに伴う文化の発達の程度と結びついている。
 中世紀の文学は僧侶に独占されていた。中世期の封建的なヨーロッパに支配権をもっていたのは
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