ゲンツィアの若い婦人たちは、医学を勉強しようとして、科学を勉強するためにさえ家出しなければならなかった。家出した娘たちは個人教授をやったりして、自活しながら勉強し、大学生活と自活生活におけるたたかいから政治的活動にも関係をもつようになった。ロシアの革命史の中に書かれる婦人の功績は実に多い。更にその名も書かれず、事業も表面には記録されないような場所と役割で、光輝ある人民解放運動のために一生を忠実に働いたインテリゲンツィア婦人は決して十人や二十人ではなかったのだ。レーニン夫人のクループスカヤも小学校の女教師をしながら、レーニングラードの労働者学校に働いてマルクシストとなった。
弾圧のきびしい地下運動の間で、彼女達はよしんば才能と希望があったにしろ文学活動をやっている余裕はなかった。
例えばチェルヌイシェフスキーやツルゲーニェフの多くの作品にも解放運動に働くロシア婦人の姿は描かれた。だが、政治的に急進した婦人自身は、文学作品としてその経験を記録する暇なく激しく速い行動のうちに生涯を燃やし切った。
この事情は、中国の婦人と文学の事情にもあてはめられる。中国の人民解放のために献身している婦
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