人の数はどれほどだろう。解放軍の進むあらゆるところに協働する婦人の姿がある。幾万人という革命的婦人がある。だが、どれだけ新しい婦人作家が出ているだろう。過去の英国の文学史になかった作品をかく婦人作家が将来において生れる社会的基礎が現在用意されつつある。
おくれて発達したロシアの資本主義は急速に爛熟し崩壊しはじめた。二十世紀のはじめのロシアのシンボリズムの婦人詩人ギッピウス、デカダンス文学の作者としての婦人作家が数人数えられた。なかでもウェルビツカヤが女で好色の文学をかくことで有名だった。
文化は依然として、支配階級の手の中にあった。
メレジュコフスキーの妻であったギッピウスは、フランス文学のデカダンスの影響をうけ、革命からはなれて、前途に何の見とおしもなくなった有閑インテリゲンツィアの無気力、人生への無興味と生存の無目的。死に対してさえ冷淡な蒼白さを、大胆に、声高く謳った。ギッピウスの詩は、腐敗したロシアのブルジョア社会が放つ気味悪い燐光として閃きわたった。
現在、ソヴェト同盟の婦人作家として活動している婦人作家のなかの多くの人々は、もうこの時代に生れていた。ヴェラ・インベルは
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