改造』の特派員となって軍事記者を勤め「坂本少尉武勇伝」に就いて、どんな階級的批判をも加えず、書立てているのも社民・労農大衆党と等しく、民主主義者と云うものはブルジョアの使傭人であることをなによりも雄弁に示している。これ等の実例でも明かのように、文化芸術に於けるファッシズムは決して或る限界線の向う側にだけ一纏めに固まっていて、その線のこっち側は綺麗だというものではない。一冊の雑誌を取ってみても、一枚の新聞の中にも、或は喫茶店でされる会話の中にも、ファッシズムの浸透とそれに抗して打ち壊《くだ》こうとする大衆の意志は対立して盛り込まれている。
芸術上、ファッシズムに対する闘争というのは、従って極めて日常的に、細部に亙ってされなければならぬものであり、その闘争はただプロレタリア文学の正当な発展によってだけ行われ得る。それは世界のプロレタリア・ジャーナリズムの確立ということだ。日本プロレタリア文化連盟の出版所はこの意味から重大な階級的任務を持っている。
プロレタリア各文化団体は、銘々の独特な分野で、最もプロレタリア的な文化戦術を学び取ろうとしている。最も正しい意味での大衆的な文化活動を始めて
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