いる。然し公平に見て、例えば作家同盟のファッシズムに対する闘争は、やや立遅れの気味だ。ファッシズムに対する芸術的闘争としての作品は今月、徳永が「ファッシズム」と云う題で小説を発表している以外目ぼしいものは今日まで現われなかった。ファシストはこの一部の現象を見て「フン、どんなものだ」と思っているかもしれない。
然し昨今の作家同盟の活動が急速なテンポで闘争的な大衆の刻下の生活を反映する文化的要求をとりあげていることは、サークル活動、文学新聞の発刊などで明かだ。
我々は、我々自身の立遅れや、戦術上の未熟を恐れるところなく承認しよう。何故なら我々の場合一つの不備な点を承認するということは既にその不備な点を克服しているということ以外ではない。
ブルジョア経済機構が、何んとしても取り除けない矛盾を内部に持っているために、ブルジョア文化は螺旋状に低下する許りだ。
誤謬を誤謬として認識し得ないブルジョア・イデオロギーに対してプロレタリアの世界観はブルジョア・イデオロギーに科学的な解剖と批判とを、厳密な自己批判と共になし得るところに、正しい弁証法的な基礎を持っている。
ファッシズムに対し、如何
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