]
◎ドストイェフスキーの文化上の貢献の意味ふかいものは自己認識の巨大な拡大 である。p.254
‖
無意識のものとか 潜在意識のものとかいう底知れぬものが彼の真実の世界であった。p.254
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〔欄外に〕
私――その崩壊――国民――再びそれとしての自分、この戻りかた。
芸術の根本的本質を持たないまま 日本の私小説はそこからぬけ出して、かえり見るだけの力の限界を踰えてより拡大された自己認識を与えるに成功し得なかった。
今日の文学の課題
尾崎士郎
[#ここで字下げ終わり]
◎一つの慾望が今度はしっかりと決定するかと思われながらつねに他のものに還ってゆくことが暗示されている、――凡ゆる衝動が永遠の変化の中で相互にもつれている。p.259
○彼等が慾求するのは 慾望の充足を希うがためのみならず、それと同時にまた慾望を拒否された堕地獄の状態をも希うがためである。
○対立は対立を生むのである。p.259
○狂暴な循環の中に彼らの意欲の旋風は渦巻いている。p.260
○われわれは彼以前にこれほど密集的な感情の多様を知らず われわれの霊的混淆についてこれほど
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