脳髄である。p.243
○彼の作品の冗漫性にある意味――事件の骨骼の下に、対話の肌の下にこうも 神経を一貫したような物語の体系をもたない。p.245
○限界のない人間は永遠のものに到達出来るけれども、模索することは出来ない p.246
  芸術
   ‥  の問題の根源として。
  モラル     ↓
◎芸術は永遠に満たされぬ者にとってはただ一つの端初にすぎず、その終末は無窮の中にあるのだ。それは一階梯にすぎず殿堂そのものではない。

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 この事実は、芸術家の大きい魂の真実にふれている、常に自己を超えようとする本能的な焦慮
   ○限界の突破
 そして、このことは平安を彼から奪うことを予約している。しかも 彼が芸術家であれば
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◎芸術家は完成と静けさにおいて形成することを希うアーティストの制御しがたい憧れ をもっている、
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 とをもっている。この二つの間にゆれる。そして最も強壮な精神だけがこの調和しがたい二つの本源的なものを、調和せしめ得る。
 ○文学者への扱いかたのむずかしさの核もここにある。
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