解明力に存する というのは、何と劇的な、心を打つ眺めであろう。
ツワイクは、一九一九年にこの本を出した。しかし彼はこの部分では、分析のメスを浅くすべらせている。非力を、おのずから示して、このドストイェフスキーの狂信と洞察――むしろ直感をふわけしていない。そのところに彼の文芸史家としてのフェータルなものがひそんでいる。この。ドストイェフスキーのロシア主義の分析こそ、ツワイクを活かすか死なしたかのポイントにふれている。
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○しかしこの場合ロシアとはいかなるものであるか。
ここでも リアリズムと空想力、火と水とのさわがしい混淆が行われているのである。p.285
各国文学精神の伝統的傾向について
○各国民は、自身の文学精神の傾向に特有のテンデンシイをもっているという事実。
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フランス バルザックとフランス小説の全主人公は、社会の抵抗より強いか弱いかであり、彼等は生活を克服するか、或はその車輪の下じきとなるかである。p.174
ドイツ 小説の主人公は(発展小説)マイスターを典型として統一の方向をとり、力は集
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