退嬰的 非進歩的 非理知的 偏狭固陋であればある程、それだけ正しいのである。大言壮語家! p.281
○理性よ、下れ! ロシアは矛盾なく 公言される信条《ドグマ》である。「人はロシアを理性をもってではなく、信仰をもって理解しなければならぬ」p.281
○狂妄な帝国主義は驕傲を僧衣に包んで「神の御意なり」と叫ぶのである。
○先ずもってわれわれヨーロッパの世界は、この新しい神の国、ロシアという世界国家の中で崩壊しなければならず、然るのち初めて救われるのである。文字通り彼は云っている「あらゆる人間は先ずロシア人とならねばならぬ」と。しかるのちはじめて新しい世界は始るのだ。ロシアは神を荷える国家であり、最初先ずそれは剣をもって世界を征服しなければならない。しかるのちにそれは初めて人類の「最後の言葉」を告げるであろう。この最後の言葉とは即ちドストイェフスキーにとっては あの和解を意味するのである p.282

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 ここにあらわれているドストイェフスキーの矛盾と、不思議な予言の美しさ。最後の言葉=彼にとっての和解は、とりもなおさず 彼自身制御し得なかった彼の芸術家の歴史性の
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