是非みたい」
「きけんです」
「どうして?」
「だってあんた、メーデーなんかに行列する奴はみんな社会主義ですぜ。泥棒だの、かたりだのだ。いつだって行列が無事にすんだことはないんです。怪我人があったり、人殺しがあったりします」
まあそういうこともあるだろう、けれども、それは行列に立った労働者たちが自発的にやるメーデーの余興ではないのだ。反動団が暴れ込んでデモをぶちこわそう[#「デモをぶちこわそう」に傍点]とすることから起る。それを、社会主義にかこつける。ピルスーヅスキーの手腕も馬鹿にはできない。わたしは思わずニヤついた。
「大丈夫ですよ。あたしが殺される心配はまあないから、どこにあるか教えて下さい」
「ウーム」二度ばかり唸ってから、やっと教えてくれた。
劇場広場という所にあるのだそうだ。
「ここから遠いんですか、そこは?」
「いいえ、そう遠くはありません。ですが悪いことは云いません。メーデーなんかに近よるのはおやめなさい。ほんとうの正直な人間の祭がもう四五日するとあります。それは、ほんとうの正直なポーランド人の行列だからその時御覧なさい」
あらましデモンストレーションが行われる時間
前へ
次へ
全11ページ中4ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング