います。働く母たちとその子への情愛はよく汲みとれますが、ルポルタージュとすると、朝七時出勤してから、その母たちが何時と何時に何分ずつ授乳の時間をもっているか、赤坊たちの発育の状態はどうであるか、この頃の生活条件でお母さんたちのお乳はどう影響したかというような点が観られなければならないと思います。母たちの給料について、これだけの感じが持たれているのならば、そのことも。この文章の中でのように表現されていると、やはり感想文に近づいてしまいます。ルポルタージュでは、男|幾何《いくら》、女幾何と明瞭に書かれた方がいいのです。それが根拠で筆者の感想も湧くのですから。更に読者が、それによって自分たちが働いて得ている給料や働きの条件について考えるきっかけを得るのですから。
  一、生活の設計  永井みどり
 どこやら小品文めいた調子をもっています。けれども、この頃誰彼なしに「生めよ、ふやせよ」と云われているような風潮に対して、子供を持つことの出来ない女性たちも何かの意味で社会の役に立ちたいと希う心持が語られているので、目にとまります。
 これまでは、このルポルタージュの投稿の中に、必ず一つや二つは療養
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