とのちがいをもう一度改めて考えて行くのに役立つように今月は原稿を整理して行って見ます。
  一、職場の日記  牧美耶子
 これが送られた原稿の中では一番報告文学に近づいたものです。この筆者が、過去二年の間に段々うつりかわって今日に到った働く人たちの食物の状態について、もっと深い注意を向けて書いて見たら、きっと立派な記録が出来ただろうと思います。これからでもいいから、試みられることをすすめます。たとえば、これから半年の間に、どんな食物がどんなに増したり減ったり調理を工夫されたか、よろこんで食べられたか或はそうでないかということを注意して見るのです。「お昼は栄養を考慮したお菜ですが近頃では国策に応じて代用食や節米料理が多いようです」とだけかかれている部分に、実際どんなものが食べられているかということが書かれたらよかったと思います。
 生活に対するちゃんとした態度や女らしさというものの表現も自分の働く職場の性質と結びあって、こういう具体的な内容と活動性をゆたかにしてゆくのが、明日の若い女性の逞しさでしょう。
  一、保姆の手記  牧野幸子
 いくらか感想文の調子の流れこんだ報告文学であると思
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