させてゆく書きかたです。
感想文の方は、感想というものがある一日に起ったある一つの事から誘い出されることもあるけれども、又、いつとはなし日々の生活の間から心にためられて、どの日のどのことという具体的な条件にかかわらず、その心持としてそれだけ書き綴られて行ってよいものです。従って、報告に比べれば文学の様式として心持が抽象して扱われる場合が多いのです。
若い女性たちが、ものを書きたくて書いてゆく自然の動機には、きっとこの二つの形のちがいがはっきりしないまま、ただ表現したい、心を語りたい欲望として感じられるまま書かれる場合が多いのでしょう。
そういう心持への理解と共感とは、特に書いているのが女性たちである場合私たちの心に生きているのです、が文学において様式の差別をみとめて、小説と小品文とのちがいを知っているとすれば、やはり感想文と報告文学とのちがう点をわきまえてゆくことも一つの成長であろうと考えます。本当の報告文学が若い女性によって一つでも多く書かれるようになれば、とりも直さずそれだけ若い女性の生活態度も社会的な眼をひろめ、識別をひろめたことになるのだと思います。ルポルタージュと感想文
前へ
次へ
全7ページ中2ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング