。アイスクリーム屋が赤、青、白、縞の小屋で陽気に商売している。短篇小説或は色彩多い諧謔曲《スケルッツオ》のモーティフが日光とともにきらつくような活溌な光景のうちに、我々はヴェレサーエフの「アポロとディオニソス」を六十三カペイキで、「解放されたドン・キホーテ」をたった二十カペイキで買うことが出来る。――丸善の二階と、潰れたボリソフ書店の目録から、どうしてこのような書籍のこころよい氾濫を想像できよう!
文化の革命へ参与する印刷物のСССР的精力の代表はデミヤン・ベードヌイの詩だ。プラウダ新聞社の輪転機は、日曜日とメー・デーとを除いて毎日廻転して居る。ベードヌイの詩作はほとんど常に輪転機と共に! ベードヌイは部屋着姿で新聞をひろげる。恐らくその新聞の二面の左肩には彼の昨日の詩がのっているだろう。五月一日、ワルシャワで殺された労働者の写真が出ている。彼はそれを視る。感じる。数行の横書文字が書かれる。翌日その詩は新聞に出るであろう。
文化の革命に参与する他の端には労働通信員《ラブコル》、村落通信員《セルコル》がある。「通信は正確な場所、時、多数者の生活と関係ある事実を必要とする。空想、空虚な
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