じと同じ快い効果を及ぼした。愉快になって私は笑い、それは本当です、と賛成した。私は、ロシアの深さ[#「深さ」に傍点]、彼を憤らすその深さ[#「深さ」に傍点]とそれに伴う大きさ、重さを感じ知っている。そして、私は、彼とは正反対にその民族的なロシアの深さを殆ど熱情的に愛する。この深さ、大きさこそ、我等をこのように吸いよせ魅するところの、魅力の第一の胚であると思う。ロープシンは、フランスやスイスで、この一種特別な深さを見つけることができなかったのであろう。ジョン・リードの若いアメリカの眼は、この深さを理解し、民族のあらゆる天才と醜聞《スカンダル》の孵卵場をそこに認めたのではなかったろうか。いわゆるロシア気質のエッセンスとして文学とともに外国に流布していた合言葉、一九一七年以前の「ニチェヴォー」或は「|同じこった《フショー・ラヴノー》」革命後のすべての赤いもの[#「赤いもの」に傍点]、動的なもの、それらは何かの角度で、この深さ[#「深さ」に傍点]大さから発展した部分的なものである。
深さ[#「深さ」に傍点]。――だが、この言葉は漠然としている。私の感じでは、深さにも種類があると思う。例えば
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