のパン焼職人の生活の印象づよい具体的な描写、插話が芸術化されている。
パン焼職人達は「最初の日から、彼をおかしな道化者、又は面白い話をするひとに対して子供が示すような素朴な愛でもって」若い、力持ちの新しい仲間を見た。ゴーリキイは、彼等の気に入る物語の間に、「もっと楽な、意義のある生活の可能に対する希望をふき込もう」とした。しかし、時に、彼等は猛烈に悪意をもってゴーリキイに反駁した。
「だが、娘達が奴等について云うことたあ、まるっきり違うぞ!」
彼等の性わるな嘲弄の中には、ゴーリキイがまだ女の愛撫を経験したことがないことが、最も容赦ない材料としてとりあげられるのであった。
崖上の小さい、だがその存在の意味は大きいデレンコフの店では、やがてパン屋を開くことを考え出した。この事業はアンドレイ・デレンコフによって精密に計画され、一|留《ルーブル》ごとに三分五厘の利益を得るように企図された。ゴーリキイはセミョーノフの大きい汚い地下室から、いくらかましな小さいデレンコフの地下室へ移って来た。「四十人の職人仲間の代りに、一人のパン焼職人ルトーニンの『助手』兼仲間のものとして」パン焼が麦粉、卵
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